ウインドサーフィンの技・上達方法

〜プレーニングやタックなどをマスターしたい!〜

ウインドサーフィンの楽しさは、今までできなかったことができるようになる達成感を味わう点にもあります。そして絶えず目標を持ち、上達していこうと思わせてくれるスポーツでもあります。
「なかなかプレーニングがマスターできない」「最近上達している実感がわかない」というようなお悩みを持つ方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、ウインドサーフィンのベイシックは技の上達にむけたコツをご紹介していきます。

をよめるようになろう! ー

上手い人と下手な人の違いは風をよめるかどうかです。ウインドサーフィンが上手い人は絶えず風上を見て風を予測し、その風を生かします。まずは風を効率良く使い、行きたい方向に走れるように基本を覚えましょう。

1:ウインドクロック

ウインドサーフィンは風の力を利用して走り、走る角度にはそれぞれ名称があります。それを説明したものがイラストにある「ウインドクロック」です。一般的に、風向に対して45 度以上の角度では走り続けることはできず、それを「デッドゾーン」と呼びます。このデッドゾーンを除けば、どの方向にもウインドサーフィンは走れます。

セーリング中は風向きに対してどの方向に進むか、または進んでいるかを常に把握しておくことがとても重要です。ウインドクロックを覚え、セーリング中はいつも頭に思い浮かべることができるようにしましょう。

ウインドクロックのイラスト

デッドゾーン:風向に対して45 度以上の角度では走り続けることはできず、それを「デッドゾーン」と呼びます。イラスト「ウインドクロック」の10 時30 分から1 時30 分の間がそのゾーンになります。風上の目標物に到達するためには、このデッドゾーンを避けながら、ジグザグに走っていくことになります。

クローズホールド:風上45 度のデッドゾーンぎりぎりの角度の走り。クローズと略して呼ぶこともあります。

ウインド・アビーム:風に対して直角90 度の走り。初めてウインドサーフィンするときに習うのはウインド・アビームの走りです。略してアビームとも呼びます。

クォーター・リー:風下45 度の走り。略してクォーターとも呼びます。

ランニング:真風下、6 時方向の走り。


ー ステアリング ー

走り出してから方向を変えるにはどうするのかな?なんてことにならないように、ステアリング操作を覚えておくのは必須項目。直進を維持するためにも、大きく方向変換するためにも、また完全に方向転換して元の場所に帰るためにも、どうしても必要なものです。ウインドサーフィンは風を原動力として走る「乗り物」ですから、ハンドルを握っている自分自身でボードの向きを調整して走れるようにしましょう。

3:ラフ(ラフィング・アップ)

風上に向きを変えていくことを「ラフィング・アップ」通称ラフと呼びます。具体的な動作としては「ブームエンドを下げる」ことです。マスト手によってマストを胸の方へ引きつけ、後ろ足に体重を載せていくと徐々にボードは風上へと向きを変えていきます。

1. 直進の状態からマストを引き寄せてセイルを開きます。セールを開くとラフしやすくなります。

2. 後ろ足に体重をのせながら、ブームエンドを下げていきます。マストを後ろに傾けることで、C.E. をC.L.R. よりも後方へ移動させることになります。

4. ボードが風上に向くに連れて少しずつセイルを引き込んでいきます。この引き込みがないとボードは止まってしまいます。


2:ベア(ベアリング・アウェイ)

ラフィング・アップと反対に風下に向きを変えていくことをベアリング・アウェイ、通称ベアと呼びます。マストをノーズ方向に突き出すようにしてブームエンドを上げていきます。風の力を増す動作になるため、体の重心を低めに保つことがコツです。

1. 直進の状態から少し後ろ足を開いてスタンスを広げます。マストを風上に引き出し、セイルを体に近づけます。手幅を広げ、セールを引き込みやすいポジションに移動します。

2. 重心を下げながらセイルを引き込み、前足でノーズを押し込んでいきます。

3. ボードが風下に向いたら、一旦セールを開いて体勢を立て直します。風下に向きを変えたため、セールを開き気味にすることがコツ。


ー ウインドサーフィンのプレーニングまで ー

ウインドサーフィンは5m/s 程度の風速以上で「プレーニング」します。滑走状態であるプレーニングは現在のウインドサーフィンの基本となっています。プレーニングするために必要な条件は、十分な風の強さはもちろんのこと、ハーネスやフットストラップの使用も欠かせません。ここではプレーニングに必要な要素を学んでいきましょう。

1:ハーネスワーク

より強い風の中で乗り続けるためにはハーネスの使用は不可欠と言っていいでしょう。ウインドサーフィンは自らが動くことによって風速を増幅させていきますから、とてもそのパワーを手の力だけで抑え続けることはできないのです。ハーネスは体重でセールを支え、手に掛かる力を軽減してくれます。ハーネスラインの長さやポジションのチューニングをしっかりと行い、まずは微風の時に掛け外しの練習をし、次第にハーネスに頼る比率を増やしましょう。

フックオン
頭の位置を動かさずにセールを平行に引き寄せてフックオンしま す。フックにラインが掛かったら、体を後方へ引き、セイルと体の距離を取ってラインにテンションを掛けていきましょう。

フックオフ
フックをオフにするには、両手でブームを引きつけます。極端に体を起こさずとも、ブームをお腹のほうへ引き寄せれば、ハーネスラインはフックから自然に外れてくれます。


2:プレーニング

プレーニングに入っていくための動作と体勢の変化を見ていきます。加速に伴ってフットストラップに前足を入れ、次にハーネスをフックオンします。そしてリアストラップに後ろ足を入れたら、マストのアフターレイキを強めてフォームを作ってゆき、トップスピードに入っていきます。

1. セールパワーが増してきたら、 後ろ足を開いて重心を低くします。

2.  両脇を締めてマストを安定させ、更に重心を低くして前足を浮かせ、ストラップに入れていきます。

3. ハーネスをフックオンし、セールに体重を預けていきます。


4.  再度両脇を締めてマスト加重を増やし、後ろ足をストラップに入れていきます。

5.  後ろ足に体重を載せながら、ハーネスラインにテンションを掛けて体重を預けます。

6. マストのアフターレイキを意識し、腹筋だけに力が入るように、体をリラックスさせ、スピードアップしていきます。


3:プレーニングのコツ

プレーニングする上で知っておいた方が良い事柄を以下で追記します。

1. ストラップワーク
フットストラップを使わなくてもプレーニングはできますが、決して安定させることはできません。 まず、前足からストラップに入れ、スピードアップに応じて後ろ足を入れていきます。足場がボードの後方に移動するのですから、どうしてもボードはラフしやすくなってしまいます。しっかりとセールに体重を預けてセイルを引き込んでおくことが大切になります。

2. アフターレイキ
プレーニングには理想的なフォームというものがあります。両足がフットストラップに入っており、ハーネスにしっかりと体重を預け、マストをテイル側にアフターレイキしているフォームが理想的です。ボードのスピードが上がることによってC.L.R. は後方に移動するので、セイル上のC.E. も後方に移動させる必要があるのです。


ー ウインドサーフィンのスタートをマスター ー

セールアップして走り出すのは基本のスタート方法ですが、セールアップ以外に楽にスタートできる方法がビーチスタートとウォータースタートです。2つのスタートの基本は一緒で、風をうまく使うことで、そのまま走り出していけるので、体力を使うセイルアップの回数を減らして練習時間を増やすことにつながります。それぞれテクニックが必要な技ですが、練習を重ねてマスターしましょう。

1:ビーチスタート

岸際からスタートする際にセールアップをせずに風の力を利用して、そのままボードに乗り上がり、海に出ていける技です。風向きに注意すること、セール・コントロールでボードを操作するのでそのためのテクニックを学びましょう。

1.  風向きを確認し、アビームまたはそれより風下側にボードのノーズを向けます。ボードの近く、 テイル寄り風上側に立ちます。

2.  テイル寄りに後ろ足を乗せます。

3. セールに風を入れ、ベアのような動作をしながら、ジョイントに近い位置に前足を乗せます。すぐに立ち上がらず、、ボードの真上に重心を移してから立ち上がります。


2:ウォータースタート

ウインドサーフィンが上手くなって小さなボードに乗るようになると、特に強風時にセールアップするのが難しくなります。そんなときに役立つテクニックがウォータースタートです。ビーチスタートをマスターしたあとであれば少しずつ深いところでビーチスタートするよう練習すれば簡単にできるようになります。なお、ウォータースタートを練習する際にはライフジャケットを着用しましょう。

1.  マストを風に対して90度または少し風下の位置に移動させます。

2.  セールの水抜きをします。マストを持って風上に泳ぎます。またはブームをボードのテイルに乗せてセールの下に風が通るようにします。

3. ブームエンドが水面を離れたらブームを持ち、自分の頭上から風上方向にマストを移動させます。


4.  両手でブームを持ち、ベアしてボードの向きを変えていきます。

5.  ブームエンドを挙げ、風をとりながら後ろ足をボードに乗せます。ボードを蹴らないことが成功のコツです。

6. 後ろ足でボードを引き付けながらベアし、セールに引っ張られるように前足を乗せます。安定したら立ち上がります。


ー ウィンドサーフィンのタックをマスター ー

ノーズが風上を向きながら方向転換していくことをタッキング(通称タック)と言います。タックの動作は大きく分けて3つの動作に分断できます。1番目は風位(風の吹いている角度) までボードをラフィングさせること。2番目は逆サイドに乗り移ること。そして風位に向いているボードをベアさせることです。

1.  一旦セイルを開き、マスト手をマストに移動しマストを後方に傾けてブームエンドを下げます。

2.  ボードのラフに合わせて徐々にセールの引き込みを強めていきます。

3. デッドゾーンに入ったら更にセイルの引き込みを強め、後ろ足でボードを押し込んでいくことを意識します。


4.  ボードが風位に向いたら、少しマストを起こしながら、できるだけコンパクトにマストの前方に回り込みます。

5.  セールとボードが重なっている時が最もバランスが悪いので、早めに逆サイドへ乗り移っていきます。

6. 後ろ足をしっかり開き、前足でボードを押し込み、重心を低く保ちながらベアしていきます。


ー ウィンドサーフィンのジャイブをマスター ー

ノーズが風下を通過しながら行う方向転換をジャイビング(通称ジャイブ)と言います。テイルを沈ませるようにジャイブするのを「テイルジャイブ」、プレーニングスピードに載せて行うジャイブを「レイルジャイブ」または「プレーニングジャイブ」と呼びます。

1:テイルジャイブ

ジャイブはベアの連続ですが、ランニングまで回し込んだ後はラフの動作になっていくので、逆サイドの乗り方をするために、足を入れ替え、セールを返していきます。

1.  どの場所で、どのように方向転換するかを決めます。

2.  マストを風上に引きだして手幅を広げ、スタンスを後方へ移動させます。後ろ足に重心を乗せ、セール手のヒジを曲げてセイルを引き込んでいきます。

3. ランニングを越えたら足を入れ替えていきます。足の入れ替えには、前足のカカトをひねり出すように置き換え、入れ替えていく前足はジョイントのすぐ近くに置きます。


4.  完全に足を入れ替え、ブームエンドが前になるクリュー・ファーストの状態になるまでしっかりとボードを回し込みます。

5.  マストを引き起こしてブームの根本へマスト手を移動させます。マスト手の脇を締めてセール手を離すとセールが裏返ります。

6.  通常のセーリングに入っていきます。


2:レイルジャイブ

プレーニングから高速走行のままレイル(ボードの両サイドのこと)を使って回転するジャイブです。プレーニングの爽快感に加え、このレイルジャイブのドライブ感はウインドサーフィンの醍醐味のひとつと言っていいでしょう。ぜひ練習してください。

1.  セールを開かないようにハーネスを外します。ブームにぶら下がるようにベアし始めます。後ろ足をストラップから抜いて風下側後ろストラップの前方におきます。

2.  後ろ足で急激にボードに加重しないように両膝を曲げて前傾姿勢をとります。

3. ランニングを過ぎない状態まで2の体制を保ちます。


4.  クォーターリーで前足をストラップから抜いて前ストラップの少し後ろ、ボードのセンターに置きます。セイルを開きながら後ろ足をジョイントベースと前ストラップの間に移動します。

5.  マスト手をブームの付け根にスライドさせ、セール手はブーム下のマストを持ちます。

6.  マストを進行方向に振るようにし、スムーズなセールがえしを試みます。ブームにもちかえ、ストラップに足を入れて再びプレーニングに入ります。


ー フォトジェニックな

インスタ映えする技を2点ご紹介します。ぜひ練習して写真や映像に納めてください。

1:ワンハンドセーリング

マスト手を離す方が難易度が高いのですが、ハーネスラインの位置を調整し、腕にかかる力を極力少なくすれば誰にでもできます。まずはブームから手を浮かすようにして練習していきましょう。

2:キックジャンプ

プレーニングしているときに小さな風波を使って空中に飛び出す技です。スピードが出ていないと決まらない技なので、まずはスピードを出すことに慣れましょう。

バッジテストで技術レベルを確認してみよう ー

バッジテストで確実にレベルアップ

楽しくウインドサーフィンしていくと、新しい技を体得したくなりますね。
特定非営利活動法人日本ウインドサーフィン協会(JWA)でバッジテストを行っています。上記で説明した技を順番に体得できレベルアップしていくシステムになっています。また腕試しに受検するのもお勧めです。


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