ウインドサーフィン入門

「ウインドサーフィンは難しい」「ウインドサーフィンはお金かかる」とイメージされる方が多いように感じます。確かに、競技レベルを求めるのであればそうかもしれません。しかしウインドサーフィンは自然のなかで風を感じながら行うスポーツで、初めての方でも十分楽しむことができます。そして、スクールでの体験であれば、高価な道具などは貸してもらえるので、気軽に始めることができるのです。ここでは体験スクールに行く前に予習できるよう、ウインドサーフィン初心者にむけた基本知識と体験スクールの探し方などをご紹介していきます。

ー ウインドサーフィンに必要なもの

まずは、どのような道具が必要なのか、初めてウインドサーフィンを体験する時にゲレンデに持っていくと良いものをおさえましょう。スクールでの体験であれば特別な道具は貸してもらえることが一般的です。レッスン時も道具や部位の名前も教えてもらえると思いますが、ここでもそれぞれの道具や基本的な操作方法について説明してきます。

1:ウインドサーフィンの道具

セール:風を受けて進むために必要なヨットでいう帆のこと。風の強さに合わせて使い分けるためにいろいろなサイズがあります。

ボード:人が立って乗る部分です。カテゴリーや乗る人の体格に合わせて様々な大きさと形があります。ビギナーの方には大きく浮力のあるボードが適しています。

ブーム:走っていく方向を定めたりスピードを調節するハンドルの役割をします。

マスト:セイルの支柱となる棒状のもの。

ジョイント:マストとボードを繋ぐパーツ。360度回転します。

フィン:ボードの後ろについている直進安定性を保つ機能を持ちます。

アップホールライン:セイルを持ち上げるためのロープ。

ウインドサーフィンの道具のイラスト

2:ウインドサーフィンに乗るときの服装

ウエットスーツ

水着の上から着るマリンスポーツ専用のウエアです。天候や気温によって様々な形や厚みのウエットスーツがあります。冬には厚みがあり水の侵入を抑える長袖長ズボンのフルスーツ、春や秋に着る半袖長ズボンのシーガル、半袖半ズボンのスプリングなどです。上下に分かれたタイプもありますので、自分のセイリングスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。レッスンを受ける際にはレンタルできます。

ライフジャケット

体を浮かすために十分な浮力があり、安全にウインドサーフィンするための必須アイテムです。浮力体としての働きのほか、胸や背中を強打した場合の保護、保温効果も期待できます。レッスンを受ける際には無料で貸し出されます。


マリンブーツ

ウエット素材のものやメッシュ素材のものなどがあり、海底に潜むウニや貝殻などから足を守ります。レッスンを受ける際には無料で貸し出されることもあります。ご自分で用意する場合は、足にフィットし脱げにくく、ウエット素材など履き心地が良いものがおすすめです。クロックスは脱げやすいのでおすすめしません。

ハーネス

中上級者になると、自分の体重をセイルに預けてセイリングできるようになり、そのために使う道具です。腰につけるウエストハーネス、足回りにストラップがあるシートハーネス、胸の位置にフックがあるチェストハーネスがあります。


夏場の服装

暑い夏にはラッシュガードとボードショーツで行う場合もあります。インストラクターの指示に従い、適した服装でウインドサーフィンしましょう。

帽子

必須アイテムではありませんが、夏場は日焼け防止に、冬場は保温に役立ちます。風に飛ばされないようあご紐がついているものがお勧めです。


3:持ち物

水着:女性はビキニでもワンピースでも構いません。フリルが多くついたものなど装飾が多い水着はウエットスーツを着るときにジッパーに挟まるなどの可能性があります。男性はあまり丈が長いボードショーツ等はウエットスーツを着る際大変になりますので避けた方が良いでしょう。

日焼け止め:冬場でも水の反射で日焼けをします。必ず持っていきましょう。

飲み物:水に浸かっているので気が付きにくいのですが、全身運動をしているので水分補給を十分に行う必要があります。

ビーチサンダル:マリンブーツを貸し出されている場合でも、ビーチを歩く際に履くことがあります。

バスタオル

サングラス:体験レッスンの場合は落としてしまうこともあるので、レッスン中はあまりかけません。夏場はビーチにいるときにかけると良いるとですが、必須アイテムではありません。

4:レンタル

ほとんどのスクールではレンタルの道具を用意しています。 最初はスクールに入ることをお勧めしますが、体験レッスンを受けた後からは道具をレンタルしてご自分で練習するという選択肢もあります。

ー ウインドサーフィンの基本

ウインドサーフィンで最初にマスターするべきはボードに乗り、走り出すことです。ここでは、初心者むけにボードの乗り方やスムーズに走り出すコツをご案内します。
ボードの持ち方(ランチング)やセッティングについては実際にスクールで教えてもらいましょう。

1:ボードへの乗り方

セールを風下に倒した状態で置き、ボードの風上側、ジョイントに近い位置からボードの上に乗り上がります。 ボードのノーズやテイルから乗り上がるのではなく、ジョイントに近いボードの中央に上がります。足がつかない場所ではボードに乗り上がる際に腕の力を使いますが、腕力がない人は腹這いになるように上がっていくのがコツです。 ボードに乗ったら一気に立ち上がるのではなく、しゃがんだままアップホールラインを持ちます。バランスをとるためアップホールラインを少し引くのがコツです。


2:ボードからの降り方

岸際に近づいたらセイルの引き込みを緩めて、スピードを落とします。アップホールラインに持ちかえゆっくりとセールを水面に寝かせます。セールがアンカーの働きをしてボードが止まりますので、ボードが止まったら体勢を低くしてボードから降ります。 ボードから飛び降りると海底にあるもので足を怪我する可能性があります。岸際は人が多いので、安全第一で動作しましょう。

3:セールアップ

ボードの上に立ったら、水に浸かっているセールを引き上げて、走り出しができるニュートラルポジションまでもっていく一連の動作をセールアップといいます。

1. 風を背中から受けながらジョイントを挟むようにボードの中心線上に立ちます。ボードとマストを垂直に配置します。

2. マストに対して真っ直ぐ後ろに体重を預けます。

3. 少しセールが持ち上がってきたところが最も重さを感じるところです。この体勢を保っているとセイルが軽く感じられる角度にボードが回っていきます。「軽くなるのを待つ」ことがコツです。

4. ブームエンドが水から抜けると急にセイルが軽くなります。このあたりからは体重を掛けず、アップホールラインをたぐり寄せていきます。

5. セールが水から抜けると風になびこうとします。それが風向ですので、逆らわずにいることが大切です。


4:ボードを回転させる

走り出したボードの向きを変えられないとしたら、元の場所に戻ってくることはできません。本格的な方向転換を学ぶ前に最もベーシックな「ボードの回転」方法を覚えておきましょう。

1. セールをシバー(風になびかせること)させ、前の手はマスト、後ろの手はブームの根本付近を握ります。ブームエンドが下がった状態を保ち、前の手でテイル側(この場合は) にマストを傾け、ブームを握った手で軽くセールに風を当てます。

2. 徐々にボードが回り始めたら、ジョイントを回り込むように意識し、足でもボードを押し出していきます。

3. 常に背中に風を受けられるようにジョイントの回りを回り込んでいきます。

4. 行きたい方向にボードが向いたら、マストを傾けるのとボードを押し出すのをやめ、セールをシバーさせてやります。ボードの向きが反対になったら、マストを握る手を入れ替え、走り出しの準備をします。


5:スターティングステップ

走り出しの動作は6ステップで、これを「スターティングステップ」と呼びます。この手順を覚え、とぎれのないスムーズな動作で、素早く行えるようにします。

1. 後ろ足を開きます。すり足で動かすことがコツです。

2. 前足を進行方向に向けます。前足をジョイントの横もしくは後ろまで移動させます。

3. マストを風上に引き起こします。ブームが水面と水平になるよう引きつけることがコツです。


4. セイル手(後ろの手)をブームにのせます。手幅が肩幅よりも広めになるようにしましょう。

5. マスト手(前の手)をブームにのせます。強く握らないようにすることがコツです。

6. セールを引き込んで走り出します。セールに重みが感じられたら走り出します。


ー ウインドサーフィン時のマナー

ゲレンデごとに注意箇所や禁止事項などが決まっていますので、必ず地元のショップやスクールに確認し、ルールを守りましょう。またビーチエチケットとして、道具を海上から上がったときには安全に置き、遊泳者や他のマリンスポーツをしている人にゆずる心を持って行動しましょう。
水上では「海上の3大原則」として以下が決められています:
スタボー(右手を前手として走っている)優先、風下艇優先、先行艇優先
詳しくはスクールで習うことができます。

1:衝突しそうになったら

まずはセールの引き込みをやめてセールから風を抜き、スピードを落とします。セールから手を離してボードの上にしゃがみます。セールがアンカーの役割をしてボードが止まり、しゃがむことによって安定した姿勢を取ることができますので、ビギナーの方はその状態で相手に回避してもらうようにしましょう。

2:もしものときには

最も多いトラブルは風の強さに耐えられずに、流されてしまうことです。オンショアであれば岸に打ち上げられますから命にまで関わることは少ないのですが、オフショアではドンドンと沖に流されてしまうわけですから、自力で陸に戻る方法を知識として身に付けておかなければなりません。

セルフレスキューの最もベーシックな方法としては、セールアップの体勢を作って移動していくことです。セールは上げなくともセールを持ち上げる体勢を作っておけば、ボードは動いていきます。その状態で近づいていける岸に向かうのです。次に、海 上でセールをたたみ、パドリング(両手で漕ぐ) によって最も近い岸に向かう方法もあります。 一番やってはならないことは、ボードから離れて泳ごうとすることです。 多くのトラブルは単独で海に出ているときに起こります。スクールやクラブに所属し、周りの人に気にかけてもらう環境を作ることが大切です。

周りに人がいる場合、まずはスクールのインストラクターはじめ、周囲の人に相談しましょう。また海上での救急は118番になることも覚えておいたほうがいいでしょう。近年では専用ケース入れて携帯を持ってウインドサーフィンすることもできます。

また、スポーツも対象になる保険に自分が入っているか、事前に確認しておくと安心です。なお、特定非営利活動法人日本ウインドサーフィン協会(JWA)の会員になるとウインドサーフィン中の偶然な事故に対応する賠償責任保険もついています。一般の方向けの会員グレードもご用意しているので詳しくはこちらをご覧ください。

スクール
ウインドサーフィンを体験しよう ー

北は北海道から南は沖縄離島まで、日本各地にウインドサーフィンのスクールがあります。どこのスクールでも体験コースを設けていますので、ぜひトライしてみましょう。 インストラクターに習えば、ウインドサーフィンは1日で乗れるようになる決して難しくないスポーツです。あなたも風を掴む楽しさを体験しましょう!

1:ウインドサーフィンができる時期

ウインドサーフィンは冬も含めて1年中楽しめるスポーツです。ただ体験するならば、寒さが和らいだ春以降がおすすめで、ゴールデンウイークなどは多くの体験者がゲレンデに訪れます。反対に真夏は海水浴場ができるなど、ビーチの使用が限られることもありますので、事前にチェックすることをお勧めします。

2:体験スクールの探し方

予算も気になるところだと思いますが、豊富な知識を持ち、教える技術が高いインストラクターに習うことが上達への近道です。またそうしたインストラクターは体験者を楽しませる方法も熟知していますので、楽しい時間を過ごせるでしょう。JWAでは全国のショップ&スクールリストを公開しています。公認スクールや公認インストラクターがいるショップ&スクール、継続してレッスンを受けるようになった場合に必要な月謝制などのスクール情報も掲載していますので、体験スクール選びに役立ててください。

3:バッジテストが受けられる

ウインドサーフィンにも検定があり、JWA公認スクールや公認インストラクターが所属するスクールではバッジテストが受けられます。初めてウインドサーフィンする方でも受検でき、級の認定をもらえます。認定証カードがもらえるので、記念にもなりますし、ひとつの目標ができてより達成感が味わえると思います。詳しくはこちらをご覧ください。

ウインドサーフィンをはじめよう

ウインドサーフィン入門編として、ウインドサーフィンの基礎知識をお届けしました。
大自然のなかで風を感じてみたくなった方、ぜひ気軽にチャレンジしてください。


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