日本ウインドサーフィン協会 JWA

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ウインドサーフィンについて

ウインドサーフィンの歴史

 ウインドサーフィンは1967年にアメリカ・カリフォルニアで、ホイル・シュワイツアー(Hoyle Schweitzer)とジム・ドレイク(Jim Drake)の2人の手によって誕生しました。シュワイツァー氏は元々はサーファーでコンピューターのソフトウェア会社の副社長。当時、彼の家には週末にもなるとサーファーやヨットマンが集まり、パーティーが開かれていました。そんな仲間達の中で、ヨットマンで超音速機の設計家ドレイク氏と出会います。この2人の出会いがウインドサーフィンを生み出したのです。サーフボードにヨットのセイルを載せて走れないものか、という誰もが考えもしなかった発想が原点でした。

 開発にあたり、最大の問題は舵をどう取り付けて操縦するかでした。ヨットをよく知っているドレイク氏は、舵がなくてもある程度ならセイルを調整するだけで舵をとれるという事をヒントにして、マストを動かすことでボードを操縦する事を思いつきました。そこで採用されたパーツが全てを可能にしたのです。2つの材が接合される部分が自在に動くパーツ、「ユニバーサルジョイント」。これを使ってボードとセイルを繋ごうという発想がウインドサーフィンを生み出しました。マストは船体に固定されているという概念に囚われず、セイルのポジションを移動させることで操舵する、そんなことは誰も考えませんでした。この2人の非凡さがここに集約されています。更に、ヨットのブームは一本の棒状ですが、その形状では人が立って操作しにくいため、弓状にカーブした「ウィッシュボーンブーム」が開発されました。

 このようにして、「ユニバーサルジョイント」によって大きなサーフボードのようなボードとセイルが繋がれました。マストが360°どの方向にも自由に動き、立ったままブームを自分の手で握って操作しつつボードをコントロールするというシステム。一見小さなこの2つのパーツ、「ユニバーサルジョイント」と「ウィッシュボーンブーム」が、ウインドサーフィンをウインドサーフィンたるものに創り上げたのです。

 当初は360cm以上の長いボードに三角形のセイルが載せられており、「Windsurfer」と命名されました。それは瞬く間にハワイへ、ヨーロッパへと世界中に広まりました。初めの頃はのんびりとセイリングするスタイルでしたが、ヨットと同じようなレース競技が行われることでスポーツ要素を強め、ハワイでは強風と波を利用してジャンプしたりサーフィンしたりする「ウェイブセイリング」などへと発展しました。その後も様々な楽しみ方のスタイルが生まれ、ヨットでもサーフィンでもない「ウインドサーフィン」としてこのスポーツは全世界に広がっていったのです。 1972年に日本上陸後、ひと時のブーム時には爆発的に体験者、愛好者が増え続けました。誰も彼もがウインドサーフィンに興味を持ち、日本中の海にウインドサーフィンが走っていました。今では小学校低学年から壮年に至るまでの幅広い年齢層が、それぞれの体力や時代のブームに応じて愉しんでいることから生涯スポーツとしても位置付けられています。

ウインドサーフィンの魅力

 セイルを使って風の力で走るウインドサーフィンはセイリング競技として分類され、世界中でレースが行われるようになっていったのですが、1984年のロサンジェルスオリンピックからヨット競技の1つとして正式種目になりました。競技性が高まるにつれ、より速いもの、より扱いやすいものへと道具が進化していきます。当時のボードは全長が長く、排水型の形状をしていましたが、現在に至るまでに素材やデザインが進化し、セイルの性能も遥かに向上していきました。弱風ではゆったりと海を走るウインドサーフィンですが、中強風になれば水面上に浮き上がるように滑走する「プレーニング」の状態になります。この「プレーニング」が表現しがたい快感を与えるため、体験者の誰もがその魅力にハマっていきます。他のスポーツの感覚に置き換えられない魅力がそこにあります。

 ウインドサーフィンのスピード世界記録は徐々に塗り替えられてきました。現在の記録はなんとほぼ100km/h。海上での体感スピードは陸上の3倍とも言われるので、驚異的な速度であることに間違いありません。勿論一般のセイラーが日常的に出せるスピードではありませんが、一般の中上級者達でも50~60km/hのスピードで海上を疾走することは決して難しいものではありません。また、高さ15m~20mというなビッグウェイブの中をサーフィングしたり、15mを超えるハイジャンプ、空中で3回転したりというハイパフォーマンスも世界のトップレベルであれば珍しくはなくなってきました。セイルとボードと身体という実にシンプルなコンビネーションによって水面上を自由に動き回る。これほどの運動性能を人間はこれまで手に入れたことはありません。そして、決して自身がハイレベルでなくても、その魅力を十分に垣間見ることができるのも魅力のひとつです。楽しみ方はハイパフォーマンスだけではありません。弱い風でのんびり楽しむ、ロングクルージングに出る、タンデムで乗るなど、年齢や性別にかかわらず、個人でも家族でも幅広い人達が楽しめることもこのスポーツの大きな魅力でしょう。

 ウインドサーフィンの最大の楽しさは「大自然の素晴しさ、海の天然の恵みをダイレクトに感じることができる」ということでしょう。人工の動力を一切使わずに風の力だけで海上を滑るように走るウインドサーフィンは、ごくあたりまえに自然の素晴しさを理解させてくれます。しかも、穏やかな日のみならず、かなり荒れた海ですら乗りこなせてしまうほどの高いポテンシャルがウインドサーフィンにはあるため、自然の驚異を身をもって知らされる機会もあるでしょう。風を待ち、風を読み、風を頼り、風を使う。逆らわずに一体感を持つこと。それがウインドサーフィンの根幹であり、最大の魅力と言えるでしょう。

カテゴリーについて

 ウインドサーフィンの遊び方(スタイル)は幾つかのカテゴリーに分類することができます。ヨットレースのように風の強弱や方向の変化を利用しながら競う「コースレース」。主にプレーニングスピードを軸として競争する「スラローム」。波に乗ったり波を使ってジャンプする「ウェイブ」。飛び跳ねながら様々なアクションを繰り出す「フリースタイル」。最高速度を追い求める「スピード」。そして近年ではボード下のハイドロフォイルによって浮き上がりながら走る「フォイリング」も1つのカテゴリーに数えられるようになってきました。これらのカテゴリーは楽しみ方が異なるために道具の質も異なります。外見ではその違いがなかなか判別しづらいものですが、使用するコンディションと目的にマッチした道具が使用されており、コンペの世界ではかなり専門的な道具が日々開発されています。そしてそれらのカテゴリー毎に競技があります。ビギナー対象やエキスパートオンリーの競技会などそのグレードは様々ですが、ごく一般のセイラーからオリンピックやプロ選手のための大会まで、世界中で開催されています。

 一方、レジャーの要素はこうした特化したカテゴリーの狭間にあると言えます。例えば、「スピードを楽しみたいが、まるでレーシングカーの様なものは必要ない」「ハンドリング性は高い方がいいが、高性能すぎるものは必要ない」などといったニーズには、それに応じた道具が揃えられています。決して専門的ではないものの色々な遊び方を程よく楽しめる道具を使ってセイリングすることを「フリーライド」と呼び、風が強くても弱くてもウインドサーフィンを楽しめるように、様々なタイプの道具が存在しています。

競技カテゴリーについて

 ウインドウインドサーフィンの競技はレース系とパフォーマンス系の2種に大別できます。レース系には、ヨットレースと同じように、広い海域を使用して風上にも風下にも走る「コースレース」とシンプルなコースでスピードを競うタイプの「スラローム」がありあます。また、近年急激に進化を遂げつつその存在感を増しているのが「フォイリング」。ボード全体が水面を離れて浮き上がり、音もなく走って行く「フォイリング」は、ついにコースレースやスラロームレースと同様の競技性を持つようになってきました。  パフォーマンス系には「ウェイブ」と「フリースタイル」があります。この2つの競技は、繰り出す演技が採点される事で勝負が決していきます。そして「スピード」。これだけは単独のセイリングになります。闘う相手は「速度」。如何に速く走るかを追求し記録に残すこと。それが「スピード」競技です。

コースレース

 ウインドサーフィンのコースレースは、セーリング競技(ヨット)の一部として行われるケースが多々あります。その代表となる競技会は「オリンピック」であり、セーリングワールドカップもそのひとつと言えるでしょう。オリンピックでは「RS-X級」として開催されています。こうした大きな大会では他のセーリングクラスと同様の海面で行われることがほとんどであり、風上に走るコースが設定されていて、そのコースでの走り方が大きく勝敗を分けることになります。広い海上を吹き抜ける風を読み、効率良く風上のマークブイに到達することが使命であり、風を上手く使うことによって他艇よりも速く走ることができます。追従しようとする艇よりも有利なポジションを取ることで更に優位な位置に立つタクティクスや、そのタクティクスを活かせるだけのセイリング能力が成績を分けると言っていいでしょう。競技会規模によりますが、40~50人での一斉レースから200人を超える競技者が一斉にスタートしてコースを周回し競う場合もあります。通常は決められたコースを2周程するレースを複数回行い、合計ポイントによって勝敗が決められます。ある程度の知識を持っていないと観て楽しむのは難しい競技でしたが、今ではライブ映像やGPSとチップによる位置情報のシステムなどによってリアルタイムに順位を把握できるようになってきているので、とても観戦しやすくなっています。やや複雑ではありますが、とてもゲーム性の強い競技がこの「コースレース」です。

スラロームレース

 風上から風下方向へ複数のマークブイを設置して回航しながら走って行くコースが設定されるのが「スラローム」競技です。競技者は、8~16名のグループに分けられ、各グループでの上位選手がトーナメント方式で勝ち上がってゆき、2回戦、3回戦、セミファイナル、ファイナルへと進んでいきます。第1ラウンドからファイナルヒートまでを1レースとしてカウントし、コンディションや日程などによって複数のレースが行われる予定となっていることが通常であり、トータルの成績によって総合成績が出されます。中強風下で行われるため、競技者にはもの凄いスピードで走るボードを思い通りにコントロールする能力が問われます。マークブイ間のストレートなコースを走り抜けるスピードもとても重要であり見応えのあるものですが、マークブイを回航(マーキング)するために必要となるジャイブが、さながらカーレースのコーナリングと同じようにとても重要な技術であり、接戦でのマーキングバトルはとてもエキサイティングです。ウインドサーフィン競技のなかでも非常にスピード感にあふれた競技であると共に、最も速くコースを走り抜けた者が一番であるという単純な判りやすさも「スラローム」の魅力と言えます。

ウェイブ

 波に乗ってどのようなマニューバーを描くか、波を使ってどんなスタイルのジャンプをするかといった「演技」をジャッジが採点することで勝敗を付けていきます。競技者は、規定時間内にジャンプとウェイブライディングの演技を見せ、これをジャッジが判定します。ウェイブライディングは、波のフェイス(波の表面)にマニューバーを描くためにとても速いスピードで波の上を走り、上から下へと繰り返しカーヴィングしていく様子が見られます。ジャンプでは、時には驚くほど高く空中に舞い上がったり、空中で回転するエアリアルループなど大胆な技が次々と繰り出されます。観るのも行うのも「ジャンプ」はウインドサーフィンの醍醐味のひとつと言えるので、とてもエキサイティングです。

 1対1の闘いで勝敗を決め、トーナメントを勝ち上がっていシンプルなくシステムであることや、ドキドキするほどの大技を期待して観戦することができるのもウェイブならでは。演技は肉眼で見える範囲で行われることが多いので、迫力ある演技を観戦しやすいのも特徴のひとつでしょう。

フリースタイル

 主に波のないコンディションで行われる競技であり、スピーディでトリッキーなアクションが人気のカテゴリー。波といったジャンプ台を使うことなくホップし、空中で縦横にクルクルと回転。セイルを表も裏も使用したり、ボードの向きも前後がどちらなのか判らなくなるような動きをします。道具の全てを身体の一部のように一体化させたアクションは時としてどの様な動きをしたのかすら見ている側が判別できなくなるほどに複雑なアクションになることもあります。フリースタイルというカテゴリーはウインドサーフィンの歴史の中でもかなり古くからある競技なのですが、その昔は微風時のものであり、決して強風下で行われるものではありませんでした。ところが今はプレーニングをベースにして、トリックのほぼ全てを空中で行うようになっています。今もっとも進化を見せているのはこのフリースタイル競技であり、ヨーロッパや中米カリブ海では特に盛んな競技と言えます。近年は、風が強く吹かない日に、水上オートバイによって牽引したウインドサーフィン(トーインウインドサーフィン)のトリックをエキジビションとして行う事も増えてきています。

スピード

 とてつもないスピードを出すためには、限りなくフラットな海面が理想であり、低抵抗であることがとても大切な要素です。しかし、風の力で走るウインドサーフィンですから、例えどんなに小さい水たまりであっても風によって風波が発生します。そこで考えられたのが、オイルフェンスを使用して風波を抑えることや、地面よりも低いところに人工の水路を作って風が水面に当たらない環境を創り上げてしまおうというものです。この人工水路によって約100km/hの記録が生まれました。GPSを使用した瞬間的な部分観測では以前から100km/hオーバーは記録されていましたが、本当の「スピードトライアル」では、500mの距離の平均速度が記録となるため、ほんの一瞬だけが速くても記録として認定されません。つまり約100km/hの記録は、実は数字を超えている程のとてつもないスピードを出せている証拠なのです。生身の身体でセイルとボードを扱い、時に失敗すればコンクリートのような硬さを感じさせる水面が待っています。このような相当なリスクが存在しているのが「スピード」競技ですが、人類の多くが「速さ」を求めていると思います。単純だけどなかなか更新されないスピード記録。果てしなくスピードを追い求めるのは人間の性なのかも知れません。