ウインドサーファーの水難死亡事故が発生しました。

日時 10月28日(日)16時頃 

発生場所
静岡県掛川市弁財天川河口西側ポイント

 



当日の状況
台風26号の影響で静岡県一体の沿岸部は波高が非常に高い状況が続いており、事故当日の日曜日も西風が
強く吹く予報でしたので波と風を求めたWAVEライダーたちが全国各地より遠州灘に集結していました。
多くのビーチがクローズとなる中、弁財天ポイントには20名程の方がセーリングしていたとのことです。
夕方近くには少し波が落ち着いたと聞きしましたが、それでも非常に激しいコンディションだったであろうと思われます。

事故発生当時の状況
事故の直接的な原因は不明ですが、ジョイントラバーとジョイントベースが破損してボードのみが砂浜に
打ちあがったてきたために海上を確認してみると、発見者の前方20〜30mの所に要救助者がうつ伏せに浮いていた。
2名の方で海に入り要救助者を確保して砂浜に上げ、心肺蘇生を開始。回りの多くの仲間が駆け付け救助に
励んだと報告を受けています。
その日は風も弱めで4.7-5.3㎡を使いう風域で南からのスウェルで海流がいつもと違った事で、
無事に浜に流れ着いた事が不幸中の幸いでした。正直普段の風波コンディションだったら陸・海・空を
総動員で数日間の大捜索となっていたと想定される。普段の4.0㎡を使い風波コンディションだったらと
思うと正直ぞっとします。
消防隊を要請したものの詳細な場所が伝わらず、到着も少し遅れたようです。海のコンディションが
危険な状況にあるために海辺の見回りをしていたシーバード掛川隊員である私が現場に合流し、
消防隊に連絡、搬送を手伝い、救急隊と救急車に要救助者を引き渡しました。
要救助者は救急車で病院に搬送されましたが、残念ながらその晩に亡くなられたと、翌日報告を受けました。
亡くなられた方は、まだまだ体力のある40代前半男性で、ウインド歴も長くWAVEの技術も相当高い上級者の方でした。

WAVEというスポーツ
波のパワーや降りかかる水圧は計り知れず、道具の破損も少なくないのがWAVEというカテゴリーです。
プロ競技はエクストリームスポーツと位置付けされるだけあって確実に危険も伴います。海の様子を見て
出艇するか否かは自己判断であり、自分の身は自分自身で守るのが当たり前とされますし、一定レベル以上の
技術を必ず必要とする最高峰のマリンスポーツと言えるでしょう。トッププレイヤーであればあるほど大きな
リスクを伴うこととなり、誰もが様々なリスクを持ってこのスポーツに向き合っています。



JWA安全委員会よりもう一度確認してみて下さい!!


1 ウォーターリスクマネージメントという言葉を聞いたことがありますか?リスクマネジメントは
様々な状況判断を必要とされます。

2 海に行く前に当日の気象状況を気にしていますか? 天気図見れますか?コンピューターでは
予測できない雲の動きを空を見て判断する事も必要!!

3 海のことを知っておく
 自分の出艇するゲレンデの正確な位置と名称を把握しましょう。緊急通報時に正確に伝えられるか
 どうかによって生存率が大きく変わります。
 波の形とカレントの向き、リップカレントと沖出しカレントと渦巻き、水量の多い河口などでの流れは
 非常に複雑な事を理解しておきましょう。

4 状況の判断
あなたは出艇を見直す事はできますか?冷静な判断の元にウインドをされていますか?コンディションと自分の技量を見つめ返してください。
助け合える仲間はいますか? 自分を探してくれる存在はありますか? 緊急対応時のゲレンデの要救助者搬出方法を知っていますか?
一番近いAEDの所在地や津波の場合はどこに逃げるのかをご存じですか。例)掛川市のAED所在地→https://batchgeo.com/map/dad02f9acaaf22f4eec7a1e988d2295a

5 海の状況
出艇を決めたら、 風の強さ、波の大きさ、ビーチは砂か否か、岩場はあるか、海底の深さ、現在のカレントの強さ、テトラや堤防等の危険箇所の把握。
 道具の確認
全ての道具にクラックは入っていないか、ネジ等の破損はないか、ジョイントベースのウレタンラバーは大丈夫か? 何度も確認して下さい。
 体調管理
 睡眠時間、水分及び栄養補給、持病、怪我等をもう一度確認 

6 自分との相談
泳力と自助力(サバイブ能力)自分の限界で対応できるか?
基本的に海上でのレスキューは居ない、来ない、間に合わないを前提に行動。自分の身は自分で守る。
 自分に必要な身を守る備品の確認
 低体温症から身を守ってくれる可能性があるウェットスーツ。レスキューシート、ホイッスル、携帯電話、
 ライフジャケット、ヘルメット等。 

 どの様なスペシャリストでも準備してます!かつて帝王ロビーナッシュはJAWSにトライする際、
 ウェットスーツの中に足ひれを持って出て行ったといいます。プロや大波乗りの人達は水中で長く息を止める
 訓練を少なからず行うなどしており、決して準備は怠らないものです。最も気にしてほしいのは、
 水に入るんだという事。我々はエラ呼吸できないので、水の中では息が吸えない、酸素補給ができないという
 当たり前の事です。水や自然の力に反発する事がどれだけ無謀であるか理解しておきましょう。自然の力を
 逆らわずにうく使うことで共存できます。無駄に泳ぐのではなく流れを使うなども知っておくべきことです。
 既に起きてしまった事故は取り戻せませんが、今後事故を起こさないようにするためには、我々が事故から学び、
 事故を減らす行動を取ることだと思います。

 今回の事故の経験を今後のウインドサーファーの安全に少しでも役立てたいと思います。

 この度亡くなられた故人様には、心よりご冥福をお祈りいたします。

 JWA安全委員会 野口貴史